好きな人に恋人がいるとわかったときのつらさは、一括りにできません。恋人ができた経緯によって少なくとも3つの型に分かれ、型ごとに向き合い方が変わります。
好きな人に恋人がいるとき、何が起きているか
好きだと気づいたときにはもう恋人がいた場合と、好きになったあとで恋人ができた場合とでは、抱えている問題がまったく違います。前者は最初から選択肢になかったという事実を受け止める作業で、後者はタイミングの悪さを受け止める作業です。まずどちらに近いかを見分けることが、次の一歩を決めます。
このつらさを「性格が重いから」「執着しているから」とまとめてしまうと、対処のしようがなくなります。実際には状況ごとに扱い方が分かれていて、型を取り違えたまま我慢を続けると長引きます。
相談の中身を見ても、悩みは「片思いの延長」と「思わせぶりへの混乱」に大きく分かれます。前者は気持ちの整理が主な作業になり、後者は相手の行動を見極める作業が主になります。どちらも状況そのものが複雑なだけで、性格の問題として片づける必要はありません。
恋人ができた経緯で分かれる3つの型
型は大きく3つです。気づく前から恋人がいた型、好きになったあとで恋人ができた型、そして恋人の有無とは別に相手の態度が思わせぶりな型です。
- 気づく前から恋人がいた型:出会った時点、あるいは好意を自覚した時点で、相手にはすでに恋人がいた状態です。関係が動く余地は、最初から用意されていませんでした。たとえば職場で知り合った時点で、すでに同棲中の恋人がいたとあとから知るようなケースがこれにあたります。
- 好きになったあとに恋人ができた型:関係が近づいていく途中、あるいは片思いを続けている間に、相手に恋人ができた状態です。「もっと早く動いていれば」という後悔が生まれやすい型です。共通の趣味で仲を深めている途中に、相手が別の出会いから交際を始めたと聞かされるようなケースがこれにあたります。
- 思わせぶりな態度が続く型:恋人がいるにもかかわらず、二人きりで会う、頻繁に連絡を取る、好意を匂わせる発言をするといった行動が続く状態です。恋人の有無だけでは説明がつかない混乱がここにあります。恋人がいると公言しながら二人だけの呼び方を続けたり、深夜に連絡してきたりする行動が典型です。
3つは同時に起きることもあります。好きになったあとに恋人ができて、その後も思わせぶりな態度が続く、という重なり方は珍しくありません。
どの型に近いかを確かめる6項目
当てはまるものに印をつけてください。採点のための項目ではなく、もう感じていることを言葉にして外に出すための項目です。
- 出会った時点、または好きだと自覚した時点で、相手にはすでに恋人がいた
- 「もっと早く気持ちを伝えていれば」と考えることがある
- 恋人がいると知ってからも、二人きりで会う機会や連絡の頻度が変わっていない
- 相手から好意を匂わせる言葉や態度を受け取ったことがある
- 相手の恋人との関係がうまくいっていないという話を、相手自身から聞かされる
- 自分から連絡を控えても、相手のほうから連絡が来る
1に印がついたなら気づく前から恋人がいた型、2は好きになったあとにできた型に近い状態です。3から6に複数印がついたなら、思わせぶりな態度が続く型が強く働いています。5と6が両方当てはまる場合、相手が関係の不満を埋める相手としてあなたを扱っている可能性があり、次の章で扱う手当てが特に必要です。
気づく前から恋人がいた型の向き合い方
この型でまず受け止める必要があるのは、失恋の痛みそのものより、そもそも選べる場面が一度もなかったという事実です。
「今からでも」と考えたくなる気持ちは自然ですが、割って入る形で動くと、状況が良くなることはほとんどありません。相手の関係に不満が生まれるのを待つ、あるいは隠れて連絡を密にするという方向は、時間をかけても報われにくく、後に残るのは疲弊だけということが多いです。
相手に配偶者がいる場合は、もう一段重みが変わります。婚姻関係にある相手との交際が進み、それが原因で夫婦関係が壊れたとみなされると、配偶者側から慰謝料を請求される対象になり得ます。恋愛感情の話にとどまらないという点は、動く前に知っておいたほうがいい事実です。
考えても答えが出ない堂々巡りが続くなら、考えすぎて動けない自分への対処が、思考が同じ場所を回り続ける仕組みそのものを扱っています。ここでの問いはすでに答えが出ているので、次に要るのは思考を止める練習です。
好きになったあとに恋人ができた型の向き合い方
この型でいちばん重いのは、感情そのものより「もっと早く動いていれば」という後悔です。ただし後悔は、当時の判断が間違っていた証拠にはなりません。
恋人ができたタイミングの前後関係を、自分の落ち度として数え直す必要はありません。関係が進むかどうかは、あなたの行動速度だけで決まる話ではなく、相手の状況やタイミングにも大きく左右されます。片方の要因だけを取り出して責めても、次に活かせる材料にはなりません。
気持ちを止めたくても止まらない状態が続いているときは、片思いをやめたいのに続いてしまう理由が近い話をしています。感情そのものより、感情が再生産される仕組みを先に止める、という順番を扱った記事です。今の状態に近い部分から読んでみてください。
思わせぶりな態度が続く型の向き合い方
恋人がいながら好意を匂わせる態度が続く場合、そこにあるのは多くの場合、相手にとって都合のいい距離感の維持です。
相手が本当に気持ちを固めているなら、二人きりで会う頻度や連絡の量は、恋人ができた時点で自然に減ります。減らないまま続いているとしたら、相手はあなたを恋愛の相手候補ではなく、関係の不満を埋める相手として扱っている可能性があります。ここは相手の言葉より、行動の変化のほうが正確な情報です。
相手の気持ちを言葉で確かめようとしても、はぐらかされて終わることが多いです。相手の気持ちがわからないときに確かめられる事実が、感情そのものより先に見える行動の記録から状況を判断する方法を扱っています。
対処として実際に効くのは3つです。二人きりで会う場面を減らすこと、相談事の相手として自分を差し出さないこと、好意を匂わせる発言があっても取り合わないことです。相手の恋人との不仲を望む方向に気持ちが向きやすい状態ですが、それは状況を変える力を持たず、自分の疲弊だけを増やします。
専門家に相談する境界
次のいずれかに当てはまる場合は、気持ちの整理だけでは届かない段階に入っています。
- 相手の連絡やSNSを一日に何度も確認せずにいられない
- 眠れない、食欲が落ちるといった体調の変化が2週間以上続いている
- 相手のことを考えると動悸や強い不安が出る
- 誰にも話せないまま一人で抱えている状態が数ヶ月続いている
心療内科や公認心理師のいる相談室、お住まいの自治体の精神保健福祉センターで相談してください。関係が職場や共通の活動の場に及んでいる場合は、各都道府県の労働局にある総合労働相談コーナーも選択肢に入ります。
よくある質問
気持ちを伝えてもいいですか
型によります。気づく前から恋人がいた型では、伝えることで相手や周囲の関係を壊す可能性が高く、ためらう理由になります。好きになったあとにできた型で、まだ交際が浅い段階なら、一度だけ気持ちを伝えて答えを引き受ける選択も残っています。断られた場合に生活や周囲の関係へ影響が及ぶかどうかも、判断材料に入れてください。
相手の恋人と別れるのを待つのは間違っていますか
別れを待つ姿勢自体に問題があるわけではないものの、実際に別れるかどうかは自分の意思だけで決まりません。待っている間に自分の時間や気力を差し出し続けることになりやすく、期限を決めずに待つと消耗だけが積み重なります。半年など区切りを決めておくと、待つこと自体に振り回されにくくなります。
思わせぶりな態度をやめてほしいと言ってもいいですか
言ってかまいません。ただし相手が態度を改める保証はなく、言ったことでかえって関係が気まずくなる場合もあります。言葉で伝える前に、まず自分から会う頻度や連絡を減らして反応を見るほうが、負担が小さく済みます。関係が長く続いている相手ほど、態度の変化には時間がかかることも見込んでおくと、落胆が小さく済みます。
相手に配偶者がいる場合、何が一番違いますか
大きく違うのは、恋愛感情の重さに加えて法的な扱いが生じる点です。交際の事実が原因で婚姻関係が壊れたと判断されると、配偶者側から慰謝料を請求される対象になり得ます。気持ちの整理とは別に、この事実は動く前に知っておく必要があります。相手が既婚であることを知らなかった場合の扱いは状況によって変わるため、疑わしい段階で確認しておくほうが安全です。

