価値観が違う気がする。そう思い始めると、この違いは埋まるのかどうかを考えたくなります。ただ、長く続いている関係にも、違いは同じくらいあります。差がつくのは違いの数より、違いが出たときにどう扱われるかのほうです。毎回どちらかが降りる。その話題自体を出せない。決める場がないまま流れる。扱い方の型を先に押さえておくと、生活で実際に衝突する違いも見分けがつきます。

違いの数より、違いが出たあとの扱い方

価値観の違いは、どの関係にもあります。続く関係と続かない関係を分けているのは、違いが表に出たあとの扱い方です。話題にできるか、決め方があるか、決まったことが蒸し返されないか。この3つが揃っていれば、違いの数は問題になりません。

逆に、扱い方のほうが壊れていると小さな違いでも消耗し、その壊れ方はだいたい次の3つの形をとります。

1. 毎回、同じ側が降りる

どちらが折れるかが最初から決まっている状態です。声の大きさ、機嫌の悪さ、話が長引くことへの耐性。降りる側は「もめるくらいなら」で降りているので、本人も譲っている自覚が薄くなります。半年から1年でこの形が固まると、話し合った記憶だけが残って、決めた記憶が残りません。

2. その話題を出せない

お金のこと、実家のこと、将来のこと。出すと機嫌が悪くなる、はぐらかされる、笑って流される。何度か試して手応えがないと、出す前にやめるようになります。避けている話題が3つを超えたあたりから、日常の会話のほうも痩せていきます。

3. 決める場がないまま流れる

話しはしたが、決まらない。次に同じ話が出るのは、問題が起きたあとです。この形だと、いつも急いでいるときにだけ話し合うことになって、条件より感情のほうが前に出ます。決まらないのは相性というより、決める場がないからです。

3つのうちどれが起きているかで、手の入れ方も変わります。1つ目なら、降りている側の感覚を戻すところから。2つ目なら、話題を出す場面の作り直しから。3つ目なら、決める手順を置くところから。関係そのものの良し悪しまで判定しなくても、手は入れられます。

生活で衝突する違いと、衝突しない違い

違いのうち、実際に生活を止めるのは、同じ資源を取り合うものに限られます。お金、時間、住む場所、家族との距離、子どもの有無。好みや趣味の違いは、並べて置いておけるので衝突しません。

衝突するもの

  • お金 貯める額と使う配分、共同の支出の決め方、収入差の扱い
  • 時間 休日の使い方、会う頻度、一人の時間をどれだけ要るか
  • 住む場所 転勤の受け方、地元に戻るかどうか、実家との距離
  • 家族 親と会う頻度、行事への参加、将来の介護
  • 子ども 持つかどうか、時期、人数
  • 清潔さと生活音 毎日発生するので、頻度が高く消耗しやすいところです

衝突しないもの

  • 好きな音楽、映画、食べ物の好み
  • 友人関係の広さ、休日に人と会う量
  • 関心のある話題の違い(同じ行動を求められない範囲では)
  • 政治や宗教への関心の差(生活の決めごとに入ってこない限り)

見分けるときは、その違いが今週の予定に影響するかどうかで測ります。影響するなら扱う対象、しないなら並べておける対象。3ヶ月先の話でも、今週の予定に何かを書き込む必要があるなら、扱う側に入ります。

扱う必要があるのは、決めないと日常が止まるものに絞られます。並べて置いておける違いは、そのままにしておけます。「価値観が合わない」と感じているとき、内訳を書き出すと、衝突するものは2つか3つしかないことが多いです。

すり合わせの場を、1つだけ作る

決め方が無い関係では、声の大きいほうか、粘ったほうが通ります。月に1回30分、決めごとだけを話す時間を取ると、その場が生まれます。感情の話とは別の時間にしておきます。

  • 議題は1回に2つまでにします。3つ以上あると、最初の1つで時間が終わります
  • 「どうしたいか」の前に「なぜそうしたいか」を1文ずつ言います。理由が出ると、折衷案が見えます
  • 決まらなかったものは、次回に持ち越すと決めて終えます。その日に片づけようとしないほうが続きます
  • 決まったことは短くメモに残します。言った言わないが、いちばん消耗します
  • 時間が来たら途中でも切ります。30分を超えると、条件の話が感情の話に変わります

場を作れない事情があるなら、形を小さくする手もあります。移動中や食事のあいだに、決めごとを1つだけ出す。時間を確保することより、決めた記録が残ることのほうが大事です。

3回やって一度も何も決まらないなら、話し方より、決める気があるかどうかのほうを見る段階です。相手が場そのものを嫌がる場合も同じで、そこが実質的な答えになっていることがあります。

話し合いの前に自分の言い分を並べ直したいときのために、運営元はURANIZEという場も別に持っています。頭の中だけで組み立てると、相手を説得する順番になりがちで、自分が何を譲れないのかは後回しになります。

毎回降りている側で、静かに減っていくもの

譲る側が減らしているのは、意見を言う回数より、そもそも意見が浮かぶ回数のほうです。半年から1年続くと、「どっちでもいい」が本当になります。丸くなったのとは違って、選ぶ働きのほうが止まった状態です。

戻すときは、日常の細かい決めごとから入ります。今日の夕食、週末に行く場所、見る映画。小さいところで自分の希望を口に出す回数を増やすと、感覚のほうが先に戻ります。目安として、1週間に3回。相手に伝わるかどうかより、自分が言えるかどうかを見ます。

相手が悪意で押し切っているとは限りません。譲られていることに気づいていない側も多く、こちらが希望を口に出した時点で、あっさり通ったりします。3回言ってみて一度も通らなかったなら、そこではじめて構造の話になります。

言いたいことが毎回飲み込まれているなら、言葉が出てこない仕組みの側から書いた恋人に言いたいことが言えないときのほうに、飲み込んだ言葉の分け方があります。

譲る形が、行動の制限にまで広がっている場合は、扱いが変わります。誰と会うかを決められる、お金の使い道を報告させられる、連絡の頻度を管理される。このどれかがあるなら、価値観の差という枠から外れています。DV相談ナビ(#8008)は、かけた場所から最寄りの相談機関につながります。DV相談+(0120-279-889)は24時間、電話とメールとチャットで受け付けています。

埋まらない違いだと分かったとき

子どもの有無、住む場所、結婚の時期。この種類の違いは、どちらかが人生の一部を諦める形でしか埋まりません。話し方を変えても近づかないので、期限を決めて、動かなければそれが答えになります。

期限の置き方には目安があります。

  • 子どもの有無 時期の問題と絡むので、半年を目安にします。年齢の条件がある場合は、その条件から逆算します
  • 住む場所 転勤や転職の予定に合わせます。予定がないなら1年です
  • 結婚の時期 相手が「いつか」としか言わない状態が1年続いたなら、それが現在の答えです

結婚の時期そのもので止まっているなら、結婚を決められない迷いに、混ざっているものの分け方があります。迷いの中身が5つに分かれるので、どこで止まっているかが見えます。

期限を決めるとき、相手への宣告は要りません。日付は自分の中だけに置いておきます。伝えると、その日付までの引き延ばしが始まる場合があります。日付が来たときに何が変わっていたかを、自分だけが知っていればいい形にしておきます。

期限が来て動かなかったのは、どちらかが悪かったからというより、合わないところが時間をかけても合わないままだったからです。そのうえで別れる側に気持ちが固まったなら、別れたい気持ちが固まったあとに、伝える順番と生活の片づけ方があります。

よくある質問

付き合う前に価値観を確認しておけば防げますか

事前の確認で分かるのは、答えの一致までです。実際に効くのは、答えが割れたときの進め方のほうで、それは一緒に何かを決めてみないと見えません。旅行の行き先や休日の予定など、小さな決めごとを一度通してみると、早い段階で分かります。

話し合おうとすると喧嘩になります

話す時間帯と長さを先に決めておくと、話し合いの形は変わってきます。疲れている夜を避けて、30分で切る。それでも毎回もめるなら、扱っているのが条件より態度のほうになっている可能性があります。決めごとを1つに絞って、その1つだけを終わらせるところから試すと、どちらなのかが分かります。

相手に合わせるのが苦にならないなら、それでいいのでしょうか

苦にならない状態が続いているなら、それはそれで一つの形です。確かめておきたいのは、自分の希望を聞かれたときにすぐ答えられるかどうかです。答えが出てこない時期が続いているなら、合わせているというより、選ぶ働きが止まっているほうに近くなります。

価値観が合う人は、どこかにいるのでしょうか

すべてが合う相手はいませんが、衝突する項目が少ない相手はいます。お金、時間、住む場所、家族、子ども。この5つで大きく割れていない相手なら、残りは扱い方で運べます。探す条件を趣味や好みに置くと、この5つが後回しになります。

長く付き合うほど、違いは埋まりますか

埋まる違いと、はっきりしてくる違いに分かれます。生活の手順や好みは、一緒にいる時間で近づきます。人生の設計に関わるものは、時間が経つほど輪郭がはっきりして、先送りしにくくなります。